【嘉宾主旨发言】坂东贤治:日美关系和中日舆论动向

2020/2/29    小川和久   静冈县县立大学特聘教授、国际变化研究所理事长


 本文作者

坂东贤治 

日本《每日新闻》论说室专业编辑委员 

原日本《每日新闻》中国总局长

  中国外文局和日本言论NPO共同实施的2018年中日关系舆论调查显示,中国公众对日本总体印象持“很好”的比例由去年的31.5%增长为42.2%,印象“不好”的比例由66.8%下降为56.1%,对日舆论态度整体改善。另一方面,日本公众对中国总体印象持“很好”的比例为13.3%较去年的11.5%有微弱上涨,印象“不好”的比例由去年的88.3%下降为86.3%基本持平,总体关系并无明显改善。

 2018年の言論NPOと中国国際出版集団の共同世論調査によると、日本の印象を「良い」と答えた中国人は前年の31・5%から42・2%に増える一方、「良くない」が66・8%から56・1%に減少し、対日世論が改善した。一方、日本人は中国の印象を「良い」と答えた人は13・1%で前年の11・5%からわずかながら上昇したもののほぼ横ばい、「良くない」も前年の88・3%から86・3%と横ばいで大きな関係改善はなかった。

  今年是中日和平友好条约缔结40周年,日本首相安倍晋三时隔7年于10月份再次访华,进一步推动了两国关系的改善。从中国的舆论中可以明显看出这种改善的趋势,而日本方面的舆论并没有发生显著的变化。过去中日两国的舆论动向都是共好共恶地同向变化,今年却呈现出明显的异向变化趋势。我们需要思考其中的原因。

 日中平和友好条約40周年の今年は安倍晋三首相が10月に首相としては7年ぶりに訪中し、関係改善が進んだ。中国の世論にはこうした改善の動きが反映したが、日本の世論を大きく変えるものにはつながっていない。過去の日中の世論動向はどちらかが良くなれば、相手も良くなり、悪い場合には双方とも悪くなると言うように対称的な関係にあったが、今年は非対称的な傾向が強まった。その原因について考える必要がある。


  在中国对日舆论的改善中,中日政治关系进一步向好和中国国内媒体对日报道的作用自不必说。如果仔细阅读舆论调查结果我们可以发现除此之外,中国访日游客数量的剧增也产生了很大影响。受“钓鱼岛国有化”事件等的影响2013年旅日中国游客数为131万人,与前一年相比减少了10万人以上。但2014年后该数据呈现急速增长,去年达到了735万人,今年更有超过800万人的趋势。

 中国の対日世論改善には日中間の政治的改善が進み、中国国内メディアの対日報道にもその影響が表れていることは確かだろう。ただ、世論調査結果を子細に見ると、それ以上に中国人の訪日観光客数が劇的に増加した影響がうかがえる。「尖閣国有化」などの影響で2013年には前年から10万人以上減って131万人になったが、2014年以降は急増し、昨年は735万人に達した。今年は800万人を超える勢いだ。


  可能受该调查的中国受访者主要局限于城市地区的影响,与有访华经历的日本公众近十年一直维持在13%-16%相比,中国公众中有访日经历的从2014年开始迅速增长。继去年的15.7%,首次超过日本方面(13.8%)后,今年达到了18.6%(日本方面为13.5%)。

 同調査の対象が中国では都市部に限られていることも影響しているのだろうが、中国への渡航経験があると答えた日本人がこの10年、13-16%で推移しているのに対し、日本への渡航経験のある中国人は2014年から急増し、昨年15.7%で初めて日本人の回答者(13.8%)を上回ったのに続き、今年は18.6%(日本人回答者は13.5%)に達した。


  今年的调查中作为对日本持正面印象的具体理由,选择“日本人讲礼仪、懂礼貌、文明程度高”的受访者为61.8%较去年的49.2% 有大幅提升,超过去年首位的“日本经济发达,国民生活水平高”成为选择最多的理由。这也与直接接触过,对日本怀有切身体会的人数增多有关。并且,旅日游客的评价感受也通过社交媒体在中国广泛传播。

 今年の調査では日本に「良い印象」を持つ理由として「日本人は礼儀があり、マナーを重んじ、民度が高いから」を上げた中国人が61.8%で前年の49.2%を大きく上回り、昨年1位だった「日本は経済発展を遂げ、国民の生活水準も高いから」を上回り、最も多い理由になった。これも日本に直接、触れてそうした実感を抱いた人が多かったためだろう。さらに訪日客の情報がSNSなどを通じて中国に広まったとも考えられる。

  日本访华的旅客人数在2000年达到了峰值400万人,2010年后开始逐渐较少。去年较前年相比增加了3.6%,为268万人。虽然这也体现出了中日关系改善的影响,但仍处于较低水平。去过中国,对中国的变化怀有切身感觉的人数较少也在一定程度上影响了对中国印象的好转。

 日本から中国への旅行者は2000年代のピーク時には400万人に達したが、2010年以降は減少してきた。昨年は268万人で前年から3・6%増加した。これも日中関係改善の影響が表れているとみられるが、なお、低い水準にとどまっている。中国に訪れ、中国で起きていることを肌感覚で知る人が少ないことが中国に対する印象が好転していないことにもつながっているかもしれない。

  我们也不能忽视中美关系对中日关系的影响。我们有理由认为由美国总统特朗普上台导致的美国外交、安保政策方向不明是中日关系的改善背景条件。中日两国都需要在考虑对美政策的基础上,维持与周边国家的稳定关系。但是,中美关系,特别是中美安全保障关系的紧张,使日本处于两难的立场。无法避免因此对公众舆论带来的影响。

 米中関係が日中関係に与える影響も見逃せない。日中関係改善の背景としてトランプ米大統領の誕生で、米国の外交、安保政策の行方が不透明になったことがあるとの指摘には一理ある。日本も中国も対米政策を考える上で、周辺諸国との関係を安定化させたいという考えがあるだろう。しかし、米中関係、特に米中の安全保障関係が緊張すると日本は難しい立場におかれる。それが世論にも影響を及ぼすことは避けられない。


  在经济关系上,与作为最大贸易伙伴的中国的关系固然重要,但是如果与安全保障问题放在一起,二者只能取其一的情况下,日本只好选择为同盟关系的美国。美国对中国的强硬态度,会通过媒体报道将美国的想法渗透进日本公众舆论中。针对华为技术问题,日本国民很多支持将此从政府采购中剔除的方案令人感到不可思议。

 経済関係では最大の貿易パートナーである中国との関係が重要であることは確かだが、安全保障問題で二者択一の立場に置かれれば、同盟関係にある米国を選択せざるを得ない。米国が中国批判を強めれば、メディアの報道を通じて米国の考え方が日本世論に浸透する。華為技術(ファーウェイ)問題で日本国民の多くが政府調達から排除するという政府の方針を支持しているのも不思議はない。


  中日两国间还存在结构性问题。由于中国的大国发展之路,日中关系呈现以下特点。在中方看来日本的相对重要性与过往相比正在减弱,而在日方看来中国的重要性正在不断增强。同时在安全保障方面,中方看来来自日本的威胁正在减弱,而对于日方来说来自中国的威胁正在不断增强。这一倾向由于中国大国之路的进一步发展,轻易不会改变。

 構造的問題もある。中国の大国化で中国から見れば日本の相対的重要性はこれまでよりも低下し、日本からみれば、中国の重要性は高まっているが、同時に安全保障では中国からみれば、日本の脅威は低下し、日本から見れば、中国の脅威が増すという関係にある。こうした傾向は中国の大国化が進む限り、簡単には変わらない。

 

  中国维持中美关系和谐,对于与包括日本在内周边国家及欧洲等美国同盟国的关系的稳定十分重要。同时,中日两国还要构建让日本对中国的大国之路放心,同时也能让中国接受的关系。这不仅需要日本,中国的做法也很重要。

 中国が米中関係をうまくマネージすることが日本など周辺国や欧州などの米国の同盟国との関係を安定化させるために重要になる。同時に日中も日本人が中国の大国化に一定の安心感を持ち、中国も受け入れられる関係を構築していく必要がある。それには日本だけでなく、中国の対応が重要になる。


  中国国家主席习近平在预计明年的访日过程中,如果能就中日构建在新的国际形势下的稳定关系达成一致,那么将是中日关系中非常重要的一步。日本作为岛国,只有维持海洋安定,才能保障自身安全。因此,围绕海洋稳定问题日中双方需达成共识。

 来年に予定される習近平国家主席の訪日で日中が新たな国際情勢に合わせた安定の枠組み作りで一致できれば、その一歩になる。島国の日本は海が荒立たない限り、安全は保たれると考えてきた。その海の安定につながるような日中の合意が必要だ。




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